・名前 太田快作 ・生年月日 1980年or1981年 ・出身地 東京都杉並区 ・最終学歴 『北里大学』獣医畜産学部獣医学科 ・所属学会 『日本獣医腎泌尿器学会』、『日本化学療法学会』 ・趣味 仕事・動物 太田快作さんの 年齢は40歳 2020年現在 2006年に『北里大学』獣医畜産学部獣医学科を卒業。 人間の都合で、動物の命を奪うことに強く抵抗を持っていたのでしょう。 いくら獣医師になるためには必要と言われても、避けたいですよね。 動物実験代替法とは? 動物実験代替法(どうぶつじっけんだいたいほう、英: Alternatives to animal testing)とは、広義には動物の使用を伴う実験もしくは試験において、より狭義には医薬品や化粧品などの化学物質のための安全性・毒性試験などにおいて、使用される動物の数を減らすことができる科学的手法のことである。 動物が好きで、不幸な動物を助けたいという気持ちだけでは、とてもなれな職業ですね。 太田快作の家族 妻・子供 は? 太田快作は 結婚し、子供もいます。 ご家族は一般の方なので、詳細は不明。 太田快作さんの妻のエピソードによると、ピアノが弾けるとのこと。 オタ快作さんは、ピアノにチヤレンジしてみようとして、挫折したんだとか。 そして子供については、男の子が1人。 2014年生まれということでした。 ということはもうすぐ小学生ですね。 スポンサードリンク 太田快作の愛犬 花子は他界。 出会いについて 太田快作さんの愛犬・花子ちゃん。 2019年時点で18歳。 人間に例えると100歳近い年齢です。 花子ちゃんは、元保護犬でした。 太田快作さんが大学2年生の時に出会った花子ちゃん。 この出会いがきっかけで、人間の犠牲になる動物の命について考えるように。 保護犬を連れて帰り面倒を見る 『犬部』。 多くの犬を連れて帰り、大変だったようですが、花子ちゃんが犬達の面倒をみてサポートしてくれたといいます。 どんな時でも一緒にいた太田快作さんと花子ちゃん。 しかし、 2019年9月3日20時40分に永眠。 18歳と半年でした。 その頃のエピソードをノンフィクション作家の片野ゆかさんが書き、漫画を高倉陽樹さんが描いたのが 『犬部!ボクらのしっぽ戦記』。 出典:小学館eコミックストアーHP この漫画は 全3巻ということです。 この作品のコメントをご紹介いたしましょう。 捨て犬や放置犬などを保護して里親を探す。 実際にそうゆう活動をされている有志の方々もいらっしゃると思います。 それがどれだけ大変で、切ないことなのかと。 とても簡単に真似出来ることじゃありませんが、せめて自分が一緒に暮らす犬は最期まで ちゃんと看取ろう。 続編を望む声もあるようですが、今の所その予定は無い模様。 もしかすると今回の『ザ・ノンフィクション』の放送により、復活の可能性もあるかもしれないですね。 スポンサードリンク 『ザ・ノンフィクション』の放送内容 『ザ・ノンフィクション』の放送内容がこちら。 出会いは18年前…学生時代に殺処分を待つ保護犬・花子を引き取ったことで人生が変わった獣医師…動物保護に全てを捧げる中、家族同然に暮らしてきた花子が病に倒れる… 引用:ザ・ノンフィクションHP 今回は前編ということですが、どこまでが放送されるのでしょう。 後編も気になるところです。 ハナ動物病院 獣医 太田快作 愛犬の花子のまとめ 家族同様のペットが他界してしまうということは本当に辛いことです。 太田快作さんのSNSの更新が、花子ちゃんが亡くなった報告後の更新がないことが少し心配ですね。 番組の取材に応じたということは、とても勇気のいる決断だったのではないでしょうか。 まだオンエアになっていないので、どのような内容になっているのかわかりませんが、今回の放送をきっかけに、人間の理不尽によって、命の危機に晒される犬や猫のことを知ってもらうという意図があったのかも知れません。 1匹でも多くの犬や猫が、不幸にならない世の中になることを願いたいと思います。 では今回はこの辺で。 みなさん本日もご訪問いただきまして ありがとうございました。 またのご訪問をお待ちしております。
次の風邪と告白 普• 夏休みが始まって3日目。 司が風邪を引いた。 だから今日は俺が全力で看病する。 顔を赤くして苦しそうに呼吸をしている様子は、可哀想だけど、色っぽいなぁ、なんて思ってしまったり。 「司、何か欲しいものある?」 「…んん…水飲みたい…」 「わかった。 持ってくるね」 司の風邪が治るまで俺は司のために全力で看病する事にした。 でないと司の可愛い笑顔が見れないんだもん。 俺はコップ1杯の水を持って司の所へ行った。 「司〜水持って来たよ〜」 「ありがと…後で飲めそうになったら飲む…」 「今飲まなくていいの?」 「飲みたいけど…今、だるくて…体起こせないし…って、え、なんで普が飲んでんの……っんぅっ」 今飲みたいけど、って言ってたから体支えてあげて口移しで飲ませた。 色っぽい司に欲情して我慢できなかったとかじゃないから!! 決して違うから!!!!!! 「…普…」 ヤバい… 怒ってる?引いてる?嫌われてる? 「風邪うつっちゃうよ…?」 「…つ、司の風邪だったらうつっても良い…」 ネ申 か よ 司…やっぱり好き…天使…はぁ… なんて思っていて、ふと下を見下ろしたら、司が俺の腰に腕を回して、太腿に頭をのせていた。 相変わらず顔は真っ赤でエr…辛そう。 「…司?」 「うつってもいーんでしょぉ…?」 「え」 「普大好き…」 「うん、俺も大好きだよ〜」 「そうじゃなくてぇ…本気なの……」 「ゑ」 ゑ!? まさか司の口からそれが聞けるなんて夢にも見な…いや、夢では何度もあったな… だけどホラ、今司熱あるから頭おかしくなってるんだ。 「早く熱下がると良いネ」 「熱下がっても俺は普の事大好き」 「……俺も大好きだよ…司…」 俺の口からも滑り落ちるようにその言葉が出てしまった。 本当は伝えちゃ駄目なのに。 俺は精一杯司を愛するから、許して、神様。
次の4巻が発売したときに書いたものなので、それまでの知識と妄想で成り立ってます。 花子くんはなんやかんやあってつかさくんを殺してません。 七不思議を2つ自分で作っちゃってます。 時計守なんて知らなかったんだもん。 ヤシロとお友達になった人の記憶を操る幽霊の女の子と、時空を超える鏡が出てきます。 1ページ目と2ページ目にちょっとしたプロセスがあるんですが、ログアウトしました。 気にしないでください。 鱗のシステムも自分で考えたものです。 ヤシロの髪は中学生から長い設定です。 花子くんが封印っていうか動かなくなって旧校舎の保健室で眠ってて、ヤシロが鏡の前に立っているとこから始まります。 説明長くてすみませんでした!本文も長いです!それでもいいって方は見てってください!アンケートお願いします!誤字脱字多いかもです… 泣• 体の透けた少女が、鏡に手をかける少女に声をかけた。 「本当に行くの?」 「うん」 「先輩、やっぱ俺も一緒に…」 心配そうに眉を歪めた少年が、一歩踏み出す。 しかしそれを制するように、少女はゆっくりと首を振った。 「ううん、光くんは花子くんの傍についててあげて」 ね?と言って、少女は自分より背の高い少年の頭を撫でる。 少し頬を染めた少年は大きく頷き、元気に返事を返す。 その光景は、これから始まることを思い起こさせないほどに微笑ましいものだった。 俺はじっと、強い意志をたたえた瞳に、問う。 「…おまえは命をかけてまで、アイツを救いたいと思うのか」 それはまさに、愚問というに相応しいものだった。 少女は瞬時に言葉を返す。 「はい。 花子くんは大切な人ですから。 必ず全て上手くいかせます」 「…そうか」 少女の言葉に俺は目を伏せる。 検討を祈る、とだけ言って、俺は少女に背を向ける。 【封】と書かれた袋をポケットに入れ、少女は鏡に足を入れた。 あ、と。 少女はふと思い出したかのように、透ける少女へと質問をする。 「今までの、花子くんやみんなと過ごした記憶は、私たちに残るんだよね?」 「うん。 七番目の記憶も、この場にいる全員の記憶も閉じ込めてあるから…七番目がこのかもめ学園に入学したとき、全部思い出すよ」 「そっか。 …うん、それを聞いて安心したよ。 これで、花子くんを助けに行ける」 にっこりと微笑んだ少女の唇はすぐにきゅっと締まり、目は真っ直ぐと前を見つめる。 「じゃあ、また会おうね。 花子くんの生きる、次の世界で」 鏡に、少女の体が吸い込まれた。 「ここは…」 目覚めると、それは旧校舎の女子トイレだった。 でも、扉の新しさとかが私の知っているものとは違くて、ここが過去だということを認識する。 そこには当然のごとく、花子くんはいない。 私は一気に湧き上がってくる不安感を振り払うように、ぎゅぅっと胸元のブローチを握った。 窓を見ると、既に夕暮れ。 もう生徒はほとんどいなそうだから、校舎を歩いてもそう簡単には見つからないだろう。 私はトイレのドアを開けて、理科室へと急いだ。 [newpage] 「俺の宝物」 『月の石』を持った花子くんが、先生に言う。 それは、先生の依り代に宿った記憶と同じ。 この後花子くんは、落ちる。 今の私の姿は誰にも見えない。 誰かに触れない限り見えないように、先生の調合した透明になる薬を服用済みだ。 ただし一個しかなくて、時間もたったの三十分。 声を殺して、身を潜める。 タンッと、花子くんが窓の上に乗る。 ギリギリで、今にも落ちそうなくらいのところを、楽しげに。 カシャンッという救急箱の落ちる音と、手を払う音。 そして、聞こえた「もうどこにも行かないって決めたから」 今…っ! 「おいっ…!」 「ダメーッッッ!!!」 「ぅわっ!?」 焦燥と、叫び声と、驚きの声。 そしてドンッという衝突音と机や椅子にぶつかったような金属音が一瞬にして響き渡る。 「あ…っ!」 小さな袋がポケットから落ちて、地面へと落下していく。 ヤバイ、と焦る私の思考とは裏腹に、花子くんと先生はぽかんとした表情で私を見つめた。 ハッとして今の状況を確認すると、私は突っ込んだ拍子に花子くんに馬乗り状態になってしまっている。 「え、え?君…誰?」 状況に理解できない花子くんが、頭にクエスチョンマークを浮かべ、私に問う。 しかし、そんな質問を気にしている訳にはいかない。 「先生お水くださいっ!!」 「は…?おまえどこからっ」 「早くお水をください!!」 「お、おうっ?」 私の切羽詰まった様子にただならぬ気配を感じたのか、先生は理科室の水道からビーカーに水を汲んでくる。 それを奪い取るようにして受け取り、左手にぶっかけた。 「おい、なにを…なっ!?」 じわじわと、鱗が現れる。 手がパキパキと音を立てて、魚のそれに変わっていく。 「それは、人魚の…!?おまえいったい」 「話は後です先生!!花…っじゃないあまねくん!これ飲んで!!」 「う、んぐっ!?」 鱗を一枚、花子くんの口へと突っ込む。 口を押さえて、無理矢理にでも飲み込ませる。 「んぐぐぐっ!?」 「お願い飲んでぇ…っ!」 「何してんだ!?」 現場はまさにカオス。 床に倒れる少年に、その彼に馬乗りになって口を押さえる少女。 そしてその周りをあたふたとする男。 傍から見れば修羅場である。 ごっくん。 音が聞こえた。 花子くんのモゴモゴとしていた口が収まり、花子くんのくぐもった声もなくなる。 手を離した私は花子くんから離れて、へなへなと座り込んだ。 大きく息を吐いて、水に濡れた腕に触れる。 まだ乾いていないそこにはまだ、魚の鱗が敷き詰められていた。 「おい柚木!大丈夫か!?」 「う、うん…」 花子くんが駆け寄った先生が、訝しげに私を見て問う。 「お前は一体、誰なんだ?」 身を起こした花子くんがじぃっ…っと私を見つめる。 その体に変化はない。 「やっぱり魚にならない…不完全な呪いでよかった…っ」 「質問に答えろ。 今飲ませたのは人魚の鱗だな。 だが、何故だ?水をかけて鱗が出てくるのは、お前が人魚の鱗を飲んだからのはずだ。 しかし、おまえは人形を保っている。 そこにいる柚木もだ。 今、おまえは『不完全な呪い』と言ったな。 一体誰がその呪いを打ち消している?そもそも何故、おまえはコイツを助けた?」 「…ごめんなさい、先生。 それは言えないんです。 絶対に、言ってはいけないの」 目を伏せて首を振る。 途端、私の身体がしゅわしゅわと音を立てて、足元から泡に覆われた。 それを見た二人は息を詰まらせて声をあげる。 「「な…っ!?」」 「あまねくん、大丈夫。 つかさくんは死んでない。 あなたは…殺してない」 「な、んで、それを…」 愕然とした表情で、花子くんが私を見つめる。 私はその瞳を見つめ返して言った。 静かに、けれど、はっきりと。 悲しみを押し殺した声を響かせる。 「ごめんなさい。 私はあなたを転生させることしか出来ない。 今のあなたの命は…救えないの」 「俺の、命?」 「転生だと?コイツが死ぬとでも言うのか」 先生が花子くんを守るように私の前に立ちはだかった。 私は祈るように、胸の前で指を組む。 「まだ死なない。 先生、どうかそれまで、あまねくんを守ってあげて。 もう二度と、傷つかないように」 もう消える。 広がった泡が上半身を消していく。 時間が無い中、私は精一杯の笑顔を浮かべ、口を開いた。 「ばいばい、あまねくん。 次の世界できっと、会えますように」 願わくば、想いが繋がりますように。 手から鱗を一枚とって、口の中へと放り込み、飲み込む。 そのひんやりとしたものが喉を通った瞬間、私の意識は途絶えた。 [newpage] 「……っ」 目の前は、天井。 周りを見渡せば可愛らしいぬいぐるみで飾られた天蓋ベッドのカーテン。 寧々はほっと、何故か安心したように息をつき、頬を伝う雫を拭う。 「悲しい、夢?」 なんの夢を見ていたのか思い出せない。 泣いているのだから悪夢だったのは違いないのだろうが、なんというか、心にほっかりと穴が空いている気がした。 けどすぐにそんな違和感はなくなって、私はひんやりとした床へと足をつけた。 「…着替えなきゃ」 今日はかもめ学園中等部の入学式だ。 生徒会に入っている寧々は、その準備をしなければならない。 「そういえば、源先輩の弟さんが入ってくるんだっけ」 やっぱり兄弟でかっこいいのかしら、と微かな期待を膨らませる。 …まぁもしかっこよかったとしても、好きにはならないのだろうけど。 寧々の最近の悩みはそれである。 中学に上がり、周囲にはたくさんのカップル…いわゆる『リア充』ができた。 『リア充』にはなっていなくても、好きな異性がいるのが普通だ。 だが、自分にはそんな人がまっったくできない。 寧々だって年頃の少女である。 男女問わず好かれていて、生徒会長の源先輩という憧れの王子様はいるが、好きな人とはまた違う気がした。 いつか運命の人が現れて、この退屈な日々から救ってくれるはず…と夢幻妄想してしまうのが最近の癖になりつつある。 「年下かぁ…あんまりタイプじゃないかなぁ」 寧々のタイプははっきり言って、物語に出てくるような王子様である。 優しくてスマートでかっこよくて。 けれど、そんなイメージでさえも、寧々の妄想の中の王子様を構成してはくれなくて。 「まぁ、期待しておいて損はないわよね」 そう言って、身支度を整えた寧々は階段を下り、玄関の扉を開けた。 「おはよう、寧々ちゃん!今日生徒会のお仕事あるんでしょ?」 校門の数歩手前で声をかけてきたのは、親友でクラスメートの葵だった。 朝から眩しい笑顔ににっこりと微笑み返す。 「おはよう葵。 あるけどまだ平気かな?仕事は先週ほとんど終わらせちゃったし…後は源先輩との最終打ち合わせくらい」 「そうなんだ。 最初の挨拶だったよね?頑張って!」 「ありがとう、頑張るね!……とっ?」 ぐらり、と。 校門をくぐった瞬間、寧々は激しい目眩に襲われた。 一人じゃ立っていられなくなって、隣の葵に寄りかからなければならない。 視界にモザイクがかかって、映像が頭に流れ込む。 …これは、なに? 疑問と断片的な映像が脳内を埋め尽くし、耳にはノイズ音と何故か懐かしく感じる声が、ぐわんぐわんと木霊する。 頭に直接響いてくるような、自分を呼ぶ声。 時空をトリップするみたいな、ぐにゃりと自分が曲げられるようなのか感覚に意識を失いそうになる。 「寧々ちゃん、大丈夫!?やだ、顔真っ青だよ、保健室行かなくちゃ…!」 「だ、大丈夫…ちょっと貧血気味なだけで…すぐ、良くなるから…」 「でもっ」 「本当、平気。 もう立てるから…今日は仕事を外れるわけにはいかないの」 荒い息を整えて、ゆっくりと自分の足で立ち上がる。 弱々しく微笑み葵に手を借りながら一歩一歩歩き出す。 …本当はめちゃくちゃ辛い。 葵に心配かけるわけにいかないから何とか立って歩いているけど、実際頭はまだグラグラしてるし心臓は鷲掴まれるように痛いし、内蔵はミキサーでかき混ぜられたみたいに気持ち悪い。 「じゃあ私、このまま体育館行かないとだから…」 体育館と校舎の分かれ道で、寧々は葵に声をかけた。 「うん…本当に大丈夫?大変だったら誰かに言ったほうがいいよ?」 「ありがとう、平気だよ。 行ってくるね」 未だ心配そうな葵に手を振り、ふらふらとした足取りで体育館へと進んでいく。 体育館に着くと、他の生徒会員はみんな揃っていた…と思ったのだが、一人足りない。 「おはよう…あれ、源先輩まだ来てないの?」 そうなの。 と、みんなが口を揃えて言う。 滅多に遅刻するような人ではないというのに、すこしおそいのではないだろうか。 ちょっと探してくると言って、寧々は入口へと走り出した。 もう、吐き気はだいぶ治まっていた。 「あ、先輩!おはようございます、何かあったんですか?珍しく遅かったですけど…」 「いや、はは…ちょっと保健室に寄ってたんだ」 「えっ、どこか体調でも悪いんですか?」 ポリポリと頬を掻きながら、先輩が苦笑いを浮かべる。 理由を聞くと、寧々と同じような状況だったらしい。 「一緒に来た弟が校門くぐった瞬間に具合悪くなっちゃって…保健室に連れてってたんだ。 遅くなっちゃってごめんね?」 「いえ、間に合いましたし大丈夫ですけど…弟さん大丈夫でしたか?」 「あぁ、大丈夫そうだったよ。 もう一人、一年生で同じように倒れた倒れたって子がいたよ。 弟が連れてくるらしいから入学式には出席すると思うんだけど、ちょっと心配かな」 そう言って、先輩はため息をつく。 しかし、今は入学式のほうが優先である。 寧々だちは急いでリハーサルで慌しい準備の輪に加わった。 「き、緊張してきた…」 慎まやかな胸に手を当て、どくんどくんとうるさい心臓の鼓動を落ち着かせようとする。 マイクを握る手には汗がじっとりと滲んでいた。 体育館には在校生と新入生の保護者たち。 これに本日の主役である新入生が加われば、その人数はゆうに五百を超えるだらう。 寧々は大きく深呼吸をして、スイッチの入ったマイクに向かって口を開いた。 『まもなく、新入生入場となります。 会場の皆様、拍手でお迎えください』 マイク越しの声が鼓膜を震わせる。 言った途端、会場がしぃんと静まり返った。 春とはいえ、まだ肌寒い日が続いている。 冷たい空気にピリリとした緊張感が加わって、肌をジクジクと刺激する。 やがて、それぞれの担任の先生が新入生を連れてやってきた。 名前が呼ばれ始め、元気な一年生の声が体育館に響き渡る。 あっという間に最後のクラスだ。 『三葉 惣介。 源 光』 男子にしては少し高めの声と、今日一の元気な声が続いて聞こえてきた。 後に聞こえた子は源って呼ばれてたから、先輩の弟さんかしら、なんて、さっきまでの体調不良も忘れて考える。 次々に名前が呼ばれていって、ついに最後の新入生の名前が呼ばれる。 『柚木 普』 「…っ!?」 その名前が呼ばれた瞬間、ジジジッと、視界がモザイクに覆われた。 白黒の写真が、スライドショーのように頭の中を流れる。 今返事したその声が、脳に、耳に、甘い余響を残す。 寧々の名前を何度も呼ぶ。 会ったことの【ヤシロ】ない男の子の声【ヤシロ】が、心臓を握りし【ヤシロ】める。 知らない顔【ヤシロ】が寧々に微笑【ヤシロ】みかける。 【ヤシロ】背中を優しく包み【ヤシロ】込む腕は誰のも【ヤシロ】のなのか。 頭を撫で【ヤシロ】る手は一体誰の【ヤシロ】 「八尋さん!」 「あっ、は、はいっ!」 先輩が静かだけど大きい声で名前を呼んだ。 途端、耳に、響いていた声は聞こえなくなり、舞台裏の役員たちが作業する上で出る雑音だけが聴覚を刺激する。 「大丈夫?顔色が悪いけど…もうすぐ出番だよ」 「あ…大丈夫です!ちょっと朝から貧血気味で」 あはは、と苦笑いで誤魔化して、壇上へと上る。 マイクを通さない自分の声で、体育館の空気を揺らす。 「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。 桜も咲き乱れて、春らしくなってきました。 これから皆さんは六年間、この学校で過ごすことになります。 ぜひ、一生記憶に残るような、そんな学校生活にしてください」 そして、舞台袖から出てきた会長にバトンタッチ。 先輩の整った容姿に、少し会場がざわめいた。 ふっと、視線を感じた。 その元をたどるように一年生の方に目を向けると、男の子がいた。 いや、当然のように会場には男の子が溢れているのだが、その黒髪の、少しばかり幼く中性的な顔立ちの男の子が、じっと、寧々を見つめていた。 どくん。 心臓が、大きく脈打った。 その音はどんどん大きくなっていって、頭をハンマーで叩くように揺らす。 ぎゅぅっと胸を押さえるも、その動悸は収まるどころか激しくなっていく。 耳にはさっきと同じ声が寧々の名前を呼んで、話しかけて。 目の前はモザイクがかかって、チカチカと瞬く。 映像が、声が、頭を駆け巡っていく。 これは、記憶? そう認識した途端、寧々の世界は暗転を迎えた。 [newpage] 「ここは…どこ?」 それは、暗闇。 暗い、暗い、深海のような底知れない闇。 ブォン、と。 寧々の目の前に、モニターに似たものが現れた。 「なに、これ…」 パッと、画面に男の子が映った。 『学園七不思議が七番目【トイレの花子さん】はじめまして』『君にとって縁結びは両想いと同じ意味なんだろ?』『人なんて簡単に死んじゃうんだからさ』『ヤシロには俺がいるじゃん』『大丈夫、ちゃんと助けるさ』『生死のないこの世界では、諦めの悪いやつがサイキョーなんだよ』『ごめん、泣かせるつもりじゃなかったんだ』『ヤシロは俺のことが好きなんだから』 映像が切り替わる。 次々に、同じ男の子が言葉を発する。 その表情は様々。 投げかけられた言葉の中で、寧々は最後が気になった。 「『ヤシロは俺のことが好きなんだから』…?私、男の子に好きって言ったこと、ない…」 そもそも、この男の子は誰なのか。 寧々のタイプではないし、行動でバレてしまうほど人を好きになったこともない。 また、彼の名乗った名前も引っかかる。 「【トイレの花子さん】なんて、私知らない…」 確かに自他共に認めるオカルト好きではあるが、実際に【トイレの花子さん】なんて呼び出した覚えもないし、旧校舎に行ったことさえない。 「じゃあこれは…」 寧々が呟いた瞬間、ブツンとモニターが切れ、世界は真っ白に塗りつぶされていった。 [newpage] ハッと目を開けると、飛び込んできたのは見慣れない天井だった。 まだぼんやりとする頭で辺りを見渡すが、薄いピンクと肌色が折り混ざったカーテンに囲まれていて、視界を遮る。 消毒液の臭いが鼻をついた。 寧々の寝ているここが保健室のベッドであることを理解した瞬間に、寧々の意識は覚醒した。 「っそうだ、入学式っ!」 そう叫んで、布団を取り払う。 上履きを履いてカーテンを開けると、そこには、確か土籠先生だったか。 一年生の担任のはずの先生が、なぜ保健室で本を読んでいるのだろう。 いや、そんなことよりも。 「あのー…先生。 保健室の先生はどこに…というか、入学式は…?」 おずおずと話しかけると、先生は驚いたように私を見つめた。 それから、はぁ、とため息をついて「まだ思い出してねーのか…」と呟く。 あれ、この先生ってこんなキャラだっけ。 なんか言葉遣いも違うような。 若干どころか大いに気になるが、今は質問に答えてもらうことが先決だ。 寧々は先生にもう一度声をかけた。 「あの、先生…?」 「…おまえは入学式の最中に倒れて、保健室で寝ていたんだ。 舞台裏で倒れたから大した騒ぎにはなっていない。 もう入学式はとっくに終わって、おまえら以外は帰った」 その言葉たちに、寧々はやってしまった…と頭を抱えた。 ああ、自分の出番が終わってしまった瞬間に気絶してしまうなんて。 きっと、源先輩含む生徒会役員に呆れられてしまったことだろう。 ……あれ? そこまで考えたところで、寧々は先生の言葉を噛み砕くように復唱した。 「先生…『おまえら以外は帰った』ってどういう事ですか?私以外に生徒が残っているんですか?」 「あいつら、おまえが目覚めんの待ってんぞ。 ……まぁ、まだ思い出してないなら何のことだかわかんねぇだろうが」 「えっ?」 ぱしゃんっ、と。 腕に冷たいものがかかった。 腕を見ると、先生がそばにあったコップの水を、寧々に向かってかけていた。 何が起きたのかわからなくて、数巡目を白黒させたが、すぐにハッとして先生にくってかかる。 「な、何するんですか!?」 「腕、見てみろ」 「う、腕?」 水がかかった腕を指され、素っ頓狂な声を上げてしまう。 次の瞬間、寧々は自分の腕を見て、短い悲鳴を上げた。 腕が、輝いていたのだ。 比喩表現ではない。 言葉のとおり、腕がキラキラと光っていたのだ。 よく見るとそれは、鱗。 魚の鱗が、寧々の腕に現れていた。 それはパキン、パキンと鳴って、濡れた部分を侵食していく。 「な、なにこれ!?」 「それは呪い。 まだ、思い出さないのか?」 「の、呪いって…」 呪い、のろい。 …そう、これは、【呪い】 ぐらりと視界が歪む。 声が聞こえる。 その声が、寧々の名を呼ぶ。 今度はノイズ混じりじゃなく、はっきりと。 目の前は白黒じゃなくカラーの映像が映し出される。 それはとても鮮明で、楽しくて、不思議で…そして、切なくて。 記憶と認識したそれらは、私の心の奥に刻み込まれた根性をあらわにする。 次の瞬間、寧々は旧校舎へと駆け出していた。 人気のない廊下に、寧々の足音だけが響く。 全速力で走ってきたから、息が荒くなっている。 やっと女子トイレの前について、寧々は肩で息をしながら勢いよく扉を開け放った。 「花子…くん」 男の子。 黒髪、私と同じくらいの身長、中性的な顔立ち、大きな目。 その口角はニヤリと上がっているが、どこか優しさと切なさが混ざっているように見えた。 その表情は寧々の感情とシンクロし、その胸をぎゅうっと締めつける。 「ヤシロ」 名前が呼ばれる。 鼓膜を震わすその声に、ぽたぽたと涙が零れ出す。 近づいてきたあまねが、寧々の涙を拭って抱きしめる。 その体には、ちゃんと体温があって。 前の世界、あまねが死んでいた世界では感じることの出来なかった優しい温もりに、さらに涙がこぼれる。 寧々は力強く天音を抱き締め返した。 「花子くん、花子くん…っ!」 「なーに?ヤシロ」 声が返ってくる。 たどたどしく紡ぐ言葉に傾けられるその耳。 抱きしめる腕に、自然と力が入った。 「花子くん、生きて、るんだよね…っ?」 「うん、生きてる。 やっと思い出してくれたね、ヤシロ」 ……あったかい。 じんわりと体に広がる体温に体を預ける。 二人の熱が混ざり合い、心地よい心音がリズムを奏でる。 あまねが寧々の長い髪を撫で、背中をトントンと叩く。 それが合図な気がして、寧々は名残惜しく体を離した。 「ありがとう、ヤシロ。 ヤシロが自分の命をかけてまで俺を助けてくれたから、俺はまたヤシロと会えた」 「ううん、私のわがままでしたことだもん…花子くん、この世に生まれてくれて、ありがとう…」 そう言うと、あまねはクスッと笑って、寧々の額を小突いた。 「俺は『あまね』だよ?ヤシロのおばーかさん」 「…ふふふ、そうだったね」 一瞬ポカンとした寧々も、釣られて笑う。 涙は、いつの間にか止まっていた。 [newpage] [chapter:おまけ] 「……おまえら、俺達のこと忘れてないか?」 ドアの開く音と、男性の声。 突然の複数の気配に、寧々とあまねは同時に振り向いた。 「土籠っ!?」 「そこは『先生』をつけろよクソガキ」 「先輩ッ!無事でよかったっす!花子復活したんすね!」 「こ、光くんも…っ!」 バタバタと入ってきた光が、寧々の手を握ってぶんぶんと振る。 まだそんなに寧々と変わらない身長の光は前の世界とはまた違った雰囲気で、その【少年】感が増している気がした。 すると、寧々の手を握る光を引き離すように、花子くん改めあまねくんがその手を握る。 「ちょっ、いきなりなにすんだよ花子!」 「花子くんじゃなくて、あ・ま・ね。 いやー、少年!残念だったねぇ、俺のこと祓えなくて」 にんまりと笑って、光の頬をツンツンとつつく。 前の世界と何ら変わらないその仕草に、光の口調は一気に喧嘩腰になる。 「うっせー!つーかおまえ、俺のこと少年って呼んでるけど同い年だかんな!? 光って呼べよ!」 「なになに少年、積極的〜。 そんなに俺と友達になりたいの?」 ピキッと、光の額に青筋が浮かんだ。 「先に名前で呼べっつったのおまえどろうが!祓えなくてもぶん殴ることは出来るんだぞ!?」 「野蛮だなー。 もっと平和的に解決しようよ、光」 「……はっ!?」 鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして、光が顔をみるみるうちに真っ赤にしていく。 まさかいきなり呼ばれると思っていなかったらしく、口をわなわなとさせ、その場で固まってしまった。 「おやおやぁ?光ったら照れてんの?ていうか、あれあれー?俺は光の名前を呼んだのに、光は俺の名前読んでくれないんだそっかー。 やぁっとできた友達なんだけどナー?」 「ぐっ………ぁ、あまね」 ポツリと落とすように呟かれたそれに、あまねはさらに口角を上げてからかうように光をいじる。 二人の小競り合いと、その光景を見た寧々の笑い声と、後ろからそろそろとやってきた半透明の少女の嬉し泣きが、パイプの煙と共に女子トイレに広がった。
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