井上 陽水 氷 の 世界。 氷の世界

1973/12/1日本レコード史上初のミリオンセラーアルバム井上陽水『氷の世界』リリース【大人のMusic Calendar】

井上 陽水 氷 の 世界

スポンサーリンク 井上陽水にハマる シンガーソングライターの「 井上陽水(いのうえ・ようすい)」さんにハマっています。 井上陽水さんは説明不要、日本を代表するシンガーソングライターで、日本の音楽業界における重要人物の一人です。 私はこれまで、音楽番組などで観たり聴いたり、あるいはベスト盤を借りて聴いたりすることしかしていませんでした。 名前も知っているし、曲も有名なシングルであればたいていサビくらいは知っているけれど、ベスト盤ではないアルバムをきちんと聴いたことがなかったです。 『ザ・カセットテープ・ミュージック』 私が陽水さんにハマったきっかけは、tvk(テレビ神奈川)で再放送されているBSトゥエルビの音楽番組『 ザ・カセットテープ・ミュージック』です。 tvkの放送は2019年になってから始まりました。 『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第4回「深遠なる井上陽水の名曲特集」の放送を観て以来、初期のアルバムを一度聴いてみたいと思うようになりました。 『SONGS』 また、NHKで放送されている音楽番組『 SONGS』でも、2019年4月6日と2019年4月13日の2回に分けて陽水さんの特集が組まれていて、放送を観たことも思いをより強くした要因です。 そうして私は陽水さんのCD購入に踏み切りました。 あわせてご覧になってください。 井上陽水『氷の世界』 今回紹介するCDは『 氷の世界』です。 画像がCDジャケットの表と裏。 中身、CDと歌詞カード。 本品は『ブックオフ』で購入しています。 価格は1,500円ほどだったと記憶しています。 説明 簡単な説明です。 1973年12月1日リリース。 ジャンルは前作と同様にフォークで良いでしょうか。 過去2作品と比べればフォークから脱却しようとしている感がなくもないです。 前作は作詞と作曲は全て「井上陽水」さんでした。 今回は陽水さんだけでなく、「小椋佳」さんや「長谷邦夫」さんが作詞手がけている曲がありましたし、忌野清志郎さんとの合作も2曲ですか、ありました。 編曲は「星勝」さんを中心に、「ニック・ハリソン」さんも加わっています。 演奏には、ピアノに「深町純」さん、ベースに「細野晴臣」さんや「高中正義」さん、アコースティックギターに陽水作品ではお馴染みの「安田裕美」さんが参加しています。 どうやらレコーディングが海外、イギリスのロンドンで行われたそうで、海外の方の名前も見られます。 曲リスト 『氷の世界』の曲リストです。 あかずの踏切り• はじまり• 帰れない二人• チエちゃん• 氷の世界• 白い一日• 自己嫌悪• 心もよう• 待ちぼうけ• 桜三月散歩道• Fun• 小春おばさん• おやすみ 曲のリストは上記のようになっています。 チエちゃんとか小春おばさんとか、聴く前から気になりました。 聴いた感想 『氷の世界』を聴いた感想です。 これから書くことは、あくまでも私の感想です。 絶対的な評価ではないことをご了承ください。 見当違いなことを書いていたり、認識に誤りがあったりしたら申し訳ありません。 感想は「とても良い」です。 私はファーストアルバムの『断絶』がとても好きで、『氷の世界』は『断絶』ほどのインパクトは感じなかったものの、好みですね。 停滞と変化 全体から感じられるジャンルは過去2作品と同じく「フォーク」です。 ところが3曲目「帰れない二人」や5曲目「氷の世界」などでは、フォークからの脱却を試みている感を覚えます。 原因は、本作は英国で収録しており、あちらのミュージシャンが加わった影響が強そうです。 特に「氷の世界」ではエレキギターやエレキベースが入ったり、ホーンが入ったりハーモニカやピアノ、シンセサイザー(?)が入ったり、コーラスに海外の方がいて、色々と豪華になっていると共に、これまでの陽水作品にはない「洋」のテイストが加わっています。 詞の世界は停滞を感じさせつつも、曲的には「変化」がキーワードになっていると感じる作品です。 歌詞は相変わらず「暗い」ものが多いです。 「氷の世界」の解釈 陽水さんの歌詞の世界は基本的に難解なのですが、本作では5曲目の表題作となっている「氷の世界」の歌詞が特に難解に思います。 冒頭では窓の外からリング売りの声が聞こえてきたり、テレビに映る女性が突然綺麗になって消えたり、指切りしようと言ったり、誰か傷つけたいと言ったり、ノーベル賞だったり。 ワードを抜き出してみるとつながりがないと思えるものばかり。 陽水さんのメンタルが心配になるレベルで「変」な歌詞です。 しかし実際ところシンプルな詞で、ただ寒いから何もしたくないしできないと言っているだけの内容なのでしょう。 陽水さんの詞は何にも書いていないと思わせることで、かえって読み手に深読みさせるものが多いと思います。 本当は何が意味があることを書いているのではないかと。 ところが実際には深いことは本当に何も書いていない、そういう可能性もあるでしょうし、「氷の世界」はそれに該当するかなと私は思っています。 リンゴ売りも本当に自分の住むアパートの部屋の外で聞こえたのでしょうし、部屋のテレビも寒さが原因(と陽水さんが思っている)で映らなくなってしまったのでしょう。 外は寒いから出たくない、お金もないし。 でも家にいても自分の他に誰もいないから、誰か来てくれはしないかと考えている。 指切りしようと言っているのは、指切りがしたいのではなく誰かと何かをしたいだけ。 前作の「東へ西へ」と同じような、周りは学校へ行っていたり勤勉に働いていたり、人付き合いも活発にしている、社会は毎日動いているのに、自分は部屋に一人取り残されている、停滞感と疎外感が彼の心を支配しているようです。 もっと突っ込んだ解釈をすると、「何かをしたい誰か」は誰かと考えると、「彼女」でしょう。 あえて陽水さんと言いますが、陽水さんは彼女が欲しいのに自分には彼女がいない・できない、恋愛に対する、あるいは自分の容姿や消極的な姿勢、行動力のなさに対する劣等感がある。 だから、曲を作っているときが冬ということもあって、今、自分はリアルと心の両方にに凍えるような冷たさを感じているのだと、今自分がいる世界は氷の世界なのだと言っています。 そういう歌詞かなと私は思っています。 「白い一日」が好き 「氷の世界」も良いですし、「帰れない二人」や「心もよう」も素晴らしく良い曲です。 個人的に本作で一番好きな曲は「 白い一日」です。 「自己嫌悪」も捨てがたい。 何よりギターが素晴らしい。 演奏は陽水さんと安田裕美さんの2人のアコースティックギターがメインと思います。 バイオリンなども入っているでしょうか。 『SONGS』でも見られた、安田さんの助奏に透明感があり、哀愁や郷愁のようなものを誘う印象的なギターです。 詞はやはり停滞感や閉塞感がありますね。 詞は小椋佳さんによるものですけど、陽水さんが書いたかのような、二人に共通する世界観があります。 どこの部屋かわかりませんけど、部屋に置かれた白い陶磁器を眺めながら一日が過ぎていくと歌っています。 陶器なのか磁器なのかすらわかりません。 一人称には好きな女性がいるみたいで、でもやはりというか何というか、彼女とは上手くいかないようです。 振られたのではなく、手が出ない・出せないという。 女性には付き合っている男性がいると思われます。 踏切の向こうに女性がいて、遮断器が上がるのを待っている、いざ上がると女性は振り向いた……つまり、誰かの方に向いた。 一人称の男性はそのときの女性は「大人の顔」になっているだろうと言っているのですから、彼女が振り向いた先にいる「誰か」は付き合っている男性のはず。 一人称はその女性と抱きしめて恋に落ちたいのだけれど、何もできずに一日は過ぎていく、白い陶磁器を眺めながら一日が過ぎていく……という。 詞から想像されることは、冒頭から登場する白い陶磁器は、好きな女性のメタファーになっていることです。 暗喩ですね。 陶器か磁器、この場合は磁器と思いますが、壺などの艶のある白い肌や曲線、これらが女性を想起させます。 そして、歌詞に登場する「紙くずになった古い手紙」は、一人称がその女性に渡すつもりだったラブレターなのでしょうねぇ。 渡すことができずいつしか紙くずになってしまったと。 難点 このCDには難点があります。 曲ではなく歌詞カードに。 自筆は貴重でありがたいことなのですがも、癖のある文字で読みにくい。 文字サイズは前作より多少大きくなっているでしょうか、サイズ的には多少見やすくなっている気がします。 余白の影響で見やすく感じられるだけで、大きさは同じかもしれません。 それと歌詞カードの仕様にも難点があります。 歌詞カードは1枚の大きな紙に全曲の歌詞が書かれて、それが折り畳められています。 他のアーティストのアルバムにもたまに見られる仕様です。 このタイプの歌詞カードは私はとても見難く感じられて苦手なんですよねぇ。 冊子のように、1曲1ページでめくっていくタイプの方が、ずっと使いやすいと思えるのですが……。 1枚の大きな紙タイプの場合、広げたり畳んだりを繰り返すうちに、端や角が切れることが多い印象があります。 おわりに ということで、井上陽水さんにハマっているので、ブックオフで『氷の世界』を購入して、聴いた感想を書いた記事でした。 陽水さんは家族もハマっているため、陽水作品を購入するときは割り勘にしています。 なので金欠な私でもギリギリ続けて買うことができています。 陽水さんの作品はもう少し買っています。

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週刊「歴史とロック」 : 井上陽水 『氷の世界』

井上 陽水 氷 の 世界

日本初のミリオンセラーは 「狂気」のアルバムだった 井上陽水が1973年12月にリリースした 『氷の世界』は、 113週(!)にわたってトップ10にランクインし続け、 ついに日本の音楽史上初めて100万枚を売り上げたアルバムになりました。 陽水は発売当時25歳でした。 今年5月、発売40周年記念盤が発売されたので、 僕は初めてこの、日本音楽史の金字塔ともいうべき作品を聴きました。 とりあえず結論から言うと、すごいアルバムでした。 聴き終えて(正確には聴いている途中から既に)圧倒されました。 完全にノックアウトです。 曲が良いからか。 もちろん、それは間違いないです。 例えば3曲目に収録されたとの共作曲 <帰れない二人>などは、 空前絶後の大名曲だと思います。 しかし、僕が「とんでもないすごいアルバム」と感じた一番の理由は、個々の楽曲の質の高さではなく、 アルバム全体を言いようのない緊張感が、 あえて言葉を探すなら「 狂気」と呼ぶべき空気が貫いているところでした。 目の前に横たわるたった一つの隔たりが越えられないばかりに幸せが遠く去っていく。 その焦燥感をファンキーなサウンドで叩きつける1曲目の <あかずの踏切り>や、 一見、好きな人が去った失恋ソングなのに、 聴いているうちにワルツの可愛い曲調がなぜかその女性の死を予感させる <チエちゃん>など、 どの曲にもなにか正常じゃない、鬼気迫るものを感じます。 そしてそれは、歌詞の影響ももちろんあるのですが、 僕は 陽水の歌声そのものから発せられる狂気なんじゃないかと思います。 当時25歳だった陽水の声は今よりも瑞々しく、しかしその中に、 何かに取りつかれている、あるいは何かに背中を追われているような切迫感があるのです。 このアルバムは、陽水の「声」抜きには成立しないアルバムだと思います。 しかし、だからこそ僕は思いました。 なぜこんな、取りようによっては「いびつ」なアルバムが、100万枚も売れたのかと。 付録のドキュメンタリーDVDを見ていたら、人類学者の 中沢新一が、 <あかずの踏切り>を例にこんなことを言っていました。 それまでのメッセージソングというのは、 社会の理想や個人の幸福といった< 到着点>を示すものばかりだった。 それに対して井上陽水は、開かない踏切りを目の前にしてただ「 待つ」こと、 「 待つしかない」ということを歌った。 それが画期的だった。 そして、経済学者の 榊原英資はこう語ります(榊原先生まで出てくるのがすごいですね)。 『氷の世界』が発売された 1973年というのは、ちょうど日本の 高度経済成長が終わった年。 オイルショックが起きて戦後初めてマイナス成長を記録し、いきなり先行きが見えなくなった。 そうした時代の空気が、このアルバムにマッチしていた。 作詞家の なかにし礼は、別の角度から同じようなことを語っています。 それまでの歌謡曲は、 職業作詞家が詞を書き、 職業作曲家が曲を作り、 歌手はそれを歌うだけ、というのが常識だった。 しかし、1973年にはもう、我々職業作詞家の言葉では、 時代の空気をすくい取れなくなっていたんだと思う。 言葉も曲も自分の手で生み出す井上陽水の登場によって、 「歌謡界」というものは終わったのだ。 アーティストがそれまでの「お仕着せ」を脱却し、自分が歌う曲は自分で作るというエポックは、 陽水が敬愛するが、当時のポップス界で果たした役割と、非常によく似ています。 時代の流れが変わり、それに既存の音楽が対応しきれなくなったときに、 突如全く新しいスタイルのアーティストが現れ、リスナーはそれを熱狂的に迎える。 『氷の世界』は、音楽界が時代と呼応したことで起きた、 一種の「 新陳代謝」という面があるのかもしれません。 しかし、じゃあ、発売当時生まれてもいなかった僕が、 こんなにもこのアルバムに惹きつけられるのはなぜだろうと思います。 時代や世代を超えた普遍性があるからこそ、 『氷の世界』は日本初のミリオンセラーになったんじゃないか。 僕自身の実感としては、そっちの方がしっくりきます。 この作品のもつ普遍性。 それはやはり、何度も言うように「狂気」なんじゃないかと思います。 僕がアルバムの中で最も狂気を感じるのは、表題曲 <氷の世界>です。 この曲に関しては、歌詞を読むだけでその狂気が伝わります。 人を傷つけたいな 誰か傷つけたいな だけど出来ない理由は やっぱりただ自分が恐いだけなんだな そのやさしさを秘かに 胸にいだいている人は いつかノーベル賞でももらうつもりでガンバってるんじゃないのか 中沢新一も指摘していましたが、特に強烈なのは「 人を傷つけたいな」という一言です。 このフレーズには、思わず背中に汗が流れるような、 まさに「氷の世界」なるゾクッとしたものを感じます。 そして、そういう思いを隠しているのは「 ノーベル賞でももらうつもりなんだろう」と、 強烈な皮肉と共に鼻で笑っている。 僕は思います。 この皮肉から逃れられる人っているんだろうかと。 「 『人を傷つけたい』と考えたことのない人」なんて、果たしているのだろうかと。 そのくらい、このフレーズには人間の本性を丸裸にする鋭さがあると思います。 そう考えると、これを歌う陽水は狂気というよりも、 むしろ 誰よりも正常で、誰よりも正直なんじゃないかと思えてきます。 この、喉元に刃を突きつけられ、身ぐるみはがされるような感覚の中に、 僕は40年前も今も変わらない強いリアリティを感じます。 もし今の時代にこういうアルバムが出てきたら、 果たしてどう受け止められるんでしょうか。

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井上陽水

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